廃棄物とリサイクル
生産活動にともない事業所から排出される廃棄物については、省資源化や環境負荷低減を十分に意識して、発生抑制や再資源化を推進して最終(埋立)処分量の削減に努める一方、法令遵守のもと、廃棄物の適正管理と処理に努めています。また、容器包装リサイクル法における再商品化の義務を着実に履行しています。
目標 / あるべき姿
- 廃棄物削減・リサイクル推進に継続的に取り組む。
2022年度計画
- 安定操業および減容・再資源化などによる発生量の抑制、処分量の減少
- 廃棄物の保管、処理に関わる法的責務の確実な遂行
- 廃棄物委託先における適正処理の計画的現地確認
2022年度報告・成果
- 安定操業を継続し、廃棄物の予定外発生量を抑制
- 保管や委託時の適正管理、処理設備の維持管理を継続
- 廃棄物委託先の監査・現地確認・書面での管理状況確認を実施し、いずれも問題ないことを確認(監査13社、現地確認1社、書面での管理状況確認15社)
廃棄物排出量の削減
クレハは、生産活動にともない事業所から排出される廃棄物の発生抑制や再資源化を推進し、最終(埋立)処分量の削減に努めています。当社は、2023年度に2030年度に向けた廃棄物削減目標を以下のように定めました。
クレハの廃棄物ゼロエミ率*目標
- 2025年度に廃棄物ゼロエミ率1.5%を達成
- 2030年度においても廃棄物ゼロエミ率1.5%を維持
- * 廃棄物ゼロエミ率の定義:産業廃棄物の最終(埋立)処分量÷総発生量(建設工事由来を除く)
いわき事業所では、場内の石炭火力発電所より排出される石炭灰量が廃棄物の多数を占めていますが、セメントなどの原料として再資源化処理業者に委託して、リサイクル率向上を図っています。
また、生産効率の改善などにより、各生産拠点から排出される廃棄物の発生抑制に努めています。さらに、廃棄物の処分方法の検討により再資源化を進めることで最終(埋立)処分量の削減にも努めています。
2021年度は一時的な残土処理などの影響もあり、産業廃棄物の発生量と最終(埋立)処分量は増加しましたが、2022年度はリサイクル率向上の取り組み効果により、最終(埋立)処分量は減少しました。
樹脂加工事業所においても、生産ロスの発生抑制や、生産ロス分を再利用した製品の開発および再資源化に積極的に取り組んでいます。
これらの取り組みの結果、2022年度の廃棄物ゼロエミ率は9.0%でした。今後もプラントの安定操業、高効率プロセスの開発による廃棄物の発生抑制や新たな再資源化技術の導入などを進め、廃棄物の発生量と最終(埋立)処分量のさらなる削減に努めていきます。
資源循環を推進し最終(埋立)処分量を削減することは、当社においても重要な課題であり、2025年度目標である廃棄物ゼロエミ率1.5%達成に向けて廃棄物削減、リサイクルの推進を行い、環境負荷低減へ貢献していきます。
廃棄物発生量(対象範囲:クレハグループ)
- * 国内グループ会社の廃棄物発生量には、クレハ環境の産業廃棄物処理にともなう排出量やクレハ建設における建築工事由来廃棄物を含んでいます。
廃棄物リサイクル率*1(対象範囲:クレハグループ)
2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | |
---|---|---|---|---|---|
クレハ | 57.6 | 58.6 | 58.7 | 57.2 | 70.0 |
国内グループ会社 | 33.7 | 36.3 | 43.2 | 44.8 | 45.6 |
海外グループ会社*2 | 57.6 | 14.9 | 15.1 | 18.7 | 66.2 |
- *1 リサイクル率=リサイクル量(熱回収を含む)/廃棄物発生量 x 100
- *2 2022年度の集計方法を見直しました。熱回収リサイクルも含みます。
廃棄物最終(埋立)処分量(対象範囲:クレハグループ)
廃棄物の適正管理
クレハは、廃棄物に関連する法令遵守と廃棄物の適正管理に努めています。また、各事業所では電子マニフェストを導入して廃棄物管理に活用しています。
いわき事業所では、ISO 14001マネジメントシステムを活用し、廃棄物置場の適正管理と保管状況の確認を行っています。また、各排出部署の担当者へ環境委員会報告資料などを通じて廃棄物に関する情報を共有し、管理者意識の向上を図っています。廃棄物委託処理先の現地確認も毎年計画に沿って実施しています。2022年度は、市内委託先1社の現地確認を行いました。市外委託先15社についてはコロナ禍のため書面にて管理状況を確認し、いずれも問題がないことを確認しました。
樹脂加工事業所においても、事業所独自の3システム内規(品質、労働安全衛生、環境を統合したマネジメントシステム)に基づき、廃棄物置場の適正管理と保管状況の監視を行っています。また、樹脂加工事業所は、廃棄物の運搬、中間処理、最終処分を多くの業者に委託しており、委託先の適正な処理状況を確認するため、計画的に現地確認を実施しています。新規の委託先を含め訪問し、排出した廃棄物が適正に処理されていることを確認するとともに、改善事項などの指摘を行っています。加えて、再資源化委託先についても、定期的に保管状況などの確認を実施しています。2022年度は、委託先10社および新規委託先3社に対して監査を実施し、いずれも問題がないことを確認しました。
引き続き廃棄物の適正管理に努めていきます。
海洋プラスチック汚染問題、プラスチック資源循環に対する認識と取り組み
持続可能な社会の発展のためには、企業として、事業活動にともなう自然環境への負荷をできるだけ低減させていかなければなりません。プラスチック製品・素材を製造、販売するクレハグループにおいては、地球温暖化、水問題、海洋プラスチック汚染や資源循環などのさまざまな環境課題に対して、「技術」をベースに役立つ製品・サービスを提供していくと同時に、環境にやさしい生産活動に努める責任があります。研究開発、製造、販売、回収、廃棄などサプライチェーンのあらゆる段階において、「環境」を意識した取り組みを進めることで、豊かな自然を守っていきます。
ここでは、海洋プラスチック汚染問題をはじめ、当社グループにおける資源循環の取り組みを紹介します。
クレハグループの認識と取り組み
当社グループの基本的な認識
プラスチック製品・素材を製造、販売する当社グループは、これらの問題や課題に対して、以下の基本的な認識をもっています。
プラスチックは、さまざまな場で利用されており、その特徴的な機能を有効活用することで、エネルギー効率の改善や食品ロスの削減などに貢献しています。
一方で、資源循環される割合はいまだに低く、また、不適正な取り扱いにより海洋へのプラスチックごみの流出があるなど、環境汚染の問題が発生しています。
現在、世界全体の取り組みとして、
①プラスチック資源循環体制の構築
②海洋プラスチックごみによる汚染の防止
が進められており、当社グループもこの問題に積極的に取り組む必要があると考えています。
当社グループの取り組み
当社グループは、企業としての責任を果たすため、これらの問題や課題に対して、以下のような取り組みを進めています。
3R(スリーアール)の推進
(発生抑制:Reduce、再使用:Reuse、再生利用:Recycle)
- 製造過程で発生するロスの削減や再使用、再生利用用途の検討推進
- リサイクル技術や熱回収などによる環境ビジネスの推進
製品設計・開発における対応
- 家庭でのごみ削減・分別廃棄のしやすさも考慮した製品設計
- 機能を保ったまま、使用する原材料を削減する取り組みの推進
- PGA樹脂製プラグのような生分解性プラスチック製品*の開発
ポイ捨て防止や海洋流出防止の推進
- 製品への廃棄に関する適切な表示による消費者啓発
- 製造過程におけるプラスチック廃棄物などの水域への漏えい防止
- 自治体、地域などとともに、ポイ捨て・不法投棄撲滅の推進
- 各事業所周辺や近隣地域の清掃活動の推進
これからも国際社会や国の方針・計画に沿って、業界団体とともに当社もこの問題に真摯に対応し、企業としての責任を果たしていきます。
- * PGA「Kuredux」は、欧州、日本で生分解性プラスチックとしての認証を受けています。
プラスチック資源循環法
2022年4月施行のプラスチック資源循環法*に基づき、プラスチック使用製品産業廃棄物などの排出事業者として、積極的に排出の抑制・再資源化に努めるとともに、それらに関する情報開示も進めていきます。
- * プラスチック資源循環法:プラスチックに関わる資源循環の促進などに関する法律
容器包装リサイクル法
クレハは、容器包装リサイクル法における再商品化の義務を着実に履行しています。
2002年度から、指定法人である公益財団法人日本容器包装リサイクル協会との間で契約を結び、主に紙製容器包装、プラスチック製容器包装について再商品化を委託しています。