保安防災

当社グループは、化学関連企業として、危険物・高圧ガス・毒劇物などを日常的に取り扱っています。保安防災、重大設備事故ゼロは当社グループの最も重要な責務であり、設備および運転管理を徹底して行っています。また、地域の安全・安心、そして信頼維持を目指し、各種法令の遵守にとどまらず、自主的な管理基準の設定や設備の予防保全にも積極的に取り組んでいます。 

事業所の保安防災

緊急事態発生時において、各従業員が与えられた役割を迅速かつ的確に遂行するために、事業所ごとの状況に応じ、実践に即した訓練を実施しています。

いわき事業所における保安防災

いわき事業所では、毎年、大規模災害や事故を想定した総合防災訓練を事業所全体で実施しています。
2020年度は12月10日に、「福島県沖を震源とする震度6弱の地震が発生し、塩化ビニルモノマーガス漏洩箇所に静電気で着火し火災が発生」との想定のもと、東日本大震災から学んだ教訓を反映させた訓練を実施し、自衛防災組織の点検と指揮者および各隊の役割を確認しました。今回は新型コロナウイルス感染症の観点から、官公庁からの視察招待者を制限しましたが、グループ会社を含む従業員約1,450名が参加しました。訓練後、地元消防署長から「正確な情報伝達、的確な各隊の連携が行われており、その真剣で機敏な行動により防災意識の高さを伺うことができました。従業員一人ひとりが防災の知識を身に付けて、実践していかなければ事故を防ぐことができません。今後も各関係機関と連携し減災に努めていただきたい」と講評をいただきました。

  • 総合防災訓練(いわき事業所・2020年度実施の様子)
  • 総合防災訓練(いわき事業所・2020年度実施の様子)
  • 総合防災訓練(いわき事業所・2020年度実施の様子)

総合防災訓練(いわき事業所・2020年度実施の様子)

また、総合防災訓練に加えて、製造部での発災時における初期連絡などの初動活動や常備防災隊(保安課)誘導訓練、製造部の各設備や取り扱い物質に応じた常備防災隊の鎮圧活動能力の向上を目的とした各部個別の訓練、製造部と常備防災隊の合同訓練なども継続的に実施しています。
さらに、いわき事業所では2006年に発生したPPSプラントの火災事故を風化させないため、発生日である9月7日を「防災の日」に定め、毎年、この時期に合わせて防災訓練を兼ねた社長保安査察を実施しています。

  • 社長保安査察(いわき事業所・2020年度実施の様子)
  • 社長保安査察(いわき事業所・2020年度実施の様子)

社長保安査察(いわき事業所・2020年度実施の様子)

樹脂加工事業所における保安防災

樹脂加工事業所茨城地区では2020年11月18日、柏原地区では2021年3月15日に、生産・技術本部長査察のもとで総合防災訓練を行いました。
今回は、茨城地区、柏原地区ともに、情報付与型図上シミュレーション訓練を実施しました。これまでのシナリオ型訓練は想定した災害に対する行動を身体で覚えることが目的でしたが、この図上訓練は想定外の事象に対する対応能力向上を目的としています。災害状況などのシナリオを伝えずに、刻々と変化する災害情報のみを付与していくブラインド型で行い、各隊長による情報の重大性判断、優先順位付け、速やかに指示を決定する指揮能力向上を図りました。慌ただしさと緊張感に包まれた訓練となり、迷いや判断ミスなど、災害はシナリオ通りには進まないことを体感しました。訓練後半は、各隊長からの反省点の発表と全員での議論により、防災活動の改善、技能アップにつなげました。

  • 生産・技術本部長保安査察(樹脂加工事業所茨城地区・2020年度実施の様子)
    生産・技術本部長保安査察
    (樹脂加工事業所茨城地区・2020年度実施の様子)
  • 生産・技術本部長保安査察(樹脂加工事業所柏原地区・2020年度実施の様子)
    生産・技術本部長保安査察
    (樹脂加工事業所柏原地区・2020年度実施の様子)

物流の保安防災

当社は、物流に関わるグループ各社と協働で、貨物輸送時の保安防災に向けて訓練や教育を実施し、手順書や連絡体制の確認・徹底に取り組んでいます。
化学品の輸送を行うクレハ運輸では、毎月開催している乗務員向けの安全会議で、発生した物流事故に基づく注意喚起や取引先設備の変更点の周知のほか、実車両や薬品を使った体験型訓練を実施し、乗務員の安全意識の向上と事故の撲滅を図っています。

  • 安全会議(クレハ運輸)(2020年度実施の様子)
  • 安全会議(クレハ運輸)(2020年度実施の様子)

安全会議(クレハ運輸)(2020年度実施の様子)

危険物原料の主要基地である小名浜移送所においても、毎年、防災訓練を行っています。2020年度は地震発生時の原料漏洩による火災を想定した防災訓練を、2021年3月11日に実施しました。小名浜消防署や共同防災センター、いわき事業所の各部との連携、担当者の防災における対応手順を改めて確認しました。

  • 小名浜移送所防災訓練(2020年度実施の様子)
  • 小名浜移送所防災訓練(2020年度実施の様子)

小名浜移送所防災訓練(2020年度実施の様子)

設備事故の未然防止

当社では、いわき事業所、樹脂加工事業所ともに、重大設備事故ゼロの継続を目標に、事故削減に向けたさまざまな取り組み、保安防災能力の強化および自然災害に備えた対策を推進し安定操業の確保を図っています。
いわき事業所における近年の軽微な設備事故の原因は、分析の結果、約半数が手順逸脱や確認ミスによる誤操作・誤判断などヒューマンエラーによるもの、残りが整備・施工不良・経年劣化によるものです。そのため、手順遵守の徹底はもとより、工事作業変更時や追加作業時のKY(危険予知)の実施や不明点の管理者への確認の徹底を推進することでヒューマンエラーの低減を図っています。また、定修時やプラント監査の結果をもとに保全頻度、管理対象設備を見直して保全計画を強化するとともに、製造部員の自主保全士資格の取得支援や製造部の保全活動監査などを通じて自主保全の定着を図っています。さらに、製造設備に加え、静機器の点検を継続的に実行し、保温配管などの状態把握と改善にも取り組み、設備事故の未然防止に努めています。
2020年度、軽微な事故は11件(2019年度は16件)と減少傾向でしたが、排水pH調整時の操作ミスにより一時的に排出排水pHの管理値逸脱(重大設備事故)が1件発生しました。改めて事故防止の取り組みを強化し、重大設備事故ゼロを目指していきます。
また、いわき事業所では、災害発生時の人身事故を含めた被害を最小限に抑制するため、製造部ごとの小規模訓練および夜間訓練などを計画的に実施し、緊急時の行動を反復習得することで保安防災能力の強化および緊急対応能力の向上を進めています。また、近年激甚化している自然災害に備えて、大雨や強風に対する運転基準の設定や設備の健全性の確認、飛来物への対応や従業員の安全確保などについて見直しを実施しています。
樹脂加工事業所においては、2020年度、安全回路未設定による小型トランス焼損、製品自動取り卸し装置シーケンス不備による破損の生産に影響した重大設備事故が2件発生しました。それぞれ、トランスへの安全回路取り付け、製品自動取り卸し装置のシーケンス変更を行って適切に処置し再発防止を図りました。また、場内物流を中心としたフォークリフトなどの車両による物損事故を含む軽微な事故も13件(2019年度は4件)と大きく増加しました。外部講師を招いたフォークリフト運転従事者への安全衛生特別教育や環境安全グループによる現場パトロールを強化して、安全運転の徹底を図っていきます。

  • 重大設備事故の定義は、消防庁から発出された消防地158号通知 「異常現象の範囲について」に準じています。

グループ全体での安全活動の推進

年2回開催しているクレハグループRC協議会では、グループ各社の安全推進活動の事例や安全モニタリングの結果の共有化を図るなど、グループ一丸となって安全活動を推進しています。

KUREHA RC TOPICS

ドローンを活用した設備保全の実証実験

いわき事業所における保全業務の事故リスク低減と効率化の推進

化学工場は、配管やタンクなどの製造装置が複雑に入り組み、数十メートルの高所にまでいたります。高所での設備保全は、通常、足場を組んで点検を行いますが、保全員の墜落や目視し難い箇所の不具合見落としなどのリスクに加え、多大な点検費用と工期を要します。それらの解消に期待されているのがドローンです。ドローンの活用で墜落の心配はなく、設備最上部もカメラで目視・記録ができ、見落としが減少します。また、記録データを蓄積してAIで解析することにより、不具合発生の予測など、より高度な保全の実現と工期短縮が可能となります。いわき事業所ではドローンによる設備保全テストを進めています。2020年10月の撮影テストでは、天井部分に死角ができないように360°カメラを新たに導入しました。今後もテストを継続して保全事故リスク低減と効率化に役立てます。