NEWクレラップストーリー

当社の看板商品<NEWクレラップ>。1960年、日本で最初の家庭用ラップとして発売されました。
その誕生は独自技術での開発に挑んだ情熱が溢れています。

1章 クレハロンの開発

戦後の荒廃の中、当社が最初に軌道にのせた事業はか性ソーダの生産でした。
か性ソーダの生産で併産される塩素。「この塩素を何かに利用できないか」。
大量に発生する塩素の有効利用を模索する中で、当社の塩化ビニリデン樹脂は誕生しました。

1951年、当社は独自技術により開発した塩化ビニリデン樹脂を<クレハロン>と名付け、本格的な市場獲得へと乗り出しました。

しかし、当初の販売用途であった漁網用繊維は、コストに見合うだけの価格で売れず苦しい状況に。
「繊維でダメならフィルムでどうか…」。

塩化ビニリデンフィルムが持つ抜群のガスバリア性。
そこに着目した技術者たちは、食品包装分野こそが最も適した用途である考え、<クレハロン>のフィルム開発に総力を結集して取り組み始めたのです。

  • 魚肉ソーセージに使用されたクレハロン
    魚肉ソーセージに使用されたクレハロン
  • クレハロンの出願公告(昭和26年)
    クレハロンの出願公告(昭和26年)

2章 クレラップの誕生

初期の<クレハロンフィルム>にはわずかながらニオイがついていました。
魚肉ソーセージのような香辛料のきいた食品には、ほとんど問題にならない程度のニオイでしたが、<クレハロンフィルム>の用途を狭める要因となることは明らかでした。

錦工場の研究室。技術者たちは無臭フィルムの開発を進める中、重合前に特定の安定剤を加えてみました。すると全く臭わない無臭フィルムの製造に成功したのです。
この無臭フィルムの誕生は使用用途の範囲拡大につながり、かまぼこ、豆腐、みそ、煮豆などの食品包装にも<クレハロンフィルム>が使われるようになりました。

そして、この無臭フィルムの誕生が、家庭用ラップ商品化への布石となるのです。

発売当初のクレラップ
発売当初のクレラップ

無臭フィルムの開発が成功したこと、また当時のアメリカでは家庭用ラップが普及していたことから、<クレハロンフィルム>は家庭用ラップ分野へ進出しました。

1960年7月、日本で最初の家庭用ラップとして<クレラップ>が発売されました。
幅30cm×長さ7mで末端価格は100円。
当時のクレラップは高級品として扱われました。

ところが百貨店の冷蔵庫売り場の横にコーナーを設けて宣伝販売を行ったものの、わずかしか売れません。
当時は高度経済成長の始まりの頃。「三種の神器」としてテレビの普及は目覚ましかったのですが、冷蔵庫の普及は遅れていたためです。

しかし、1960年代半ばから冷蔵庫が爆発的に普及し、1980年代半ばからは電子レンジが家庭で使われるようになりました。
冷蔵庫や電子レンジの普及と共に、<クレラップ>は一般家庭に浸透していき、各家庭の必需品となっていきました。

  • クレラップの宣伝写真
    クレラップの宣伝写真
  • クレラップの宣伝写真
    クレラップの宣伝写真

3章 トップブランド化に向け 本格的なリニューアル時代へ

1972年頃、すでに全国のラップ消費量は5000万本に達するほど伸びてきていました。当時、社運を賭けた「原油分解計画」が頓挫し、経営の危機に直面していた当社は<クレラップ>の売上高を伸ばすことが期待され、そのためのプロジェクトが組まれました。

1973年、パッケージを‘花柄‘の新デザインに刷新。
流通網も新しく展開することで販路は拡大し、販売量も伸びていきました。
一方で<クレラップ>は安く売られていたため、そのことがブランドイメージにも影響を及ぼしていました。
このブランドイメージを打破するため、<クレラップ>は大幅なリニューアルに向けて走り出すのです。

「スパッと切れない」「斜めに切れてしまう」「切ったラップ同士がまとわりついてしまう」。
利用者が使いにくいと感じている難点に、当時の開発陣はラップフィルムのみならず箱(カートン)の機能設計、カット刃、パッケージデザインに至るまで検討を重ねていきました。

  • 1973年 新デザインになったクレラップ
    1973年 新デザインになったクレラップ
  • 工場の生産ラインの様子
    工場の生産ラインの様子

こうしたことを背景に、1989年 、29年目にして<クレラップ>はフルモデルチェンジを試みます。

ラップフィルムは樹脂の配合処方を改めて開発し、フィルムの密着性を向上させると同時に、透明で清潔感があり、コシが強く付きのよい、電子レンジ適性のあるフィルムになるよう改良しました。

また、だれでも簡単に切れる「クレハカット」を発明。
クレハカットは、ラップを端から端まで引きながら切るのではなく、 箱を持つ手を内側にクルッと回転させて、ラップを箱(カートン)の中央から左右に切断するため、ラップが斜めに切れることもなく、ラップ同士がまとわりつくことも防ぐことができます。また、食器のサイズに合わせて無駄なく切ることができるようになりました。

1989年 フルモデルチェンジした「NEWクレラップ」
1989年 フルモデルチェンジした「NEWクレラップ」

箱(カートン)には「巻き戻り防止ストッパー」を採用。接着剤を塗布した箱本体にラップフィルムが付くことで、ラップフィルムが箱の中に巻き戻ってしまい端が取れなくなるという状態を防ぎ、いつでもサッと取り出せるようになりました。

そしてパッケージデザインを、現在も続いているみずみずしい“フルーツ柄”に。
ネーミングは新しく生まれ変わった商品であることをアピールするために「NEW」という冠を付けて<NEWクレラップ>としました。

4章 「いちばんうれしいラップになろう。」

1993年には、家庭用ラップは2億6000万本のマーケットに成長し、年間1世帯あたり6本程度が消費される日用品の代表選手となりました。

<NEWクレラップ>は常に消費者や流通関係者の声に耳を傾け、 2004年から毎年パッケージに改良を加え、2013年には10年連続でのリニューアルを行いました。
『いちばんうれしいラップになろう。』をコンセプトとして、お客様の使い勝手向上を追求し続けています。

2008年にはカット刃の材質を金属から植物由来の生分解プラスチックへと変更しました。
どなたにでも安心してお使いいただくため、また分別廃棄時の刃の取り出しをより簡単にするため、そして植物生まれの生分解性プラスチックのポリ乳酸(PLA)を採用することで環境へも配慮しました。

また、どなたにでも安全安心に使っていただけるように配慮したパッケージや機能は、国内外で評価いただき、数々の賞をいただくことができました。

「お客様に笑顔でクレラップを使っていただきたい」。
私たちのあくなき追求姿勢が毎年の改良に繋がっています。

毎年、進化し続ける<NEWクレラップ>。
だから「NEW」という冠ははずさない。
これからもお客様に感動をお届けするための挑戦は続いていきます。

いちばんうれしいラップになろう。