新中長期経営計画

当社は、「中長期的な企業価値の向上」と「持続可能な社会への貢献」を両立し、サステナビリティ経営を推進してクレハグループを一層発展させるべく、新たに『クレハグループ企業理念』、『クレハビジョン』、2030年度に向けた『経営方針』と「クレハグループ新中長期経営計画『未来創造への挑戦』」を策定しました。

クレハグループ企業理念・クレハビジョン

近年、世界は新型ウイルスによるパンデミックや、国家間の緊張と紛争により地政学的リスクが高まり、人・モノの移動制限、分断など、経済・社会環境に大きな変化が生じています。また地球環境の変化により気候変動や自然災害が増大し、カーボンニュートラルの実現やエネルギーおよび食糧の確保、水資源や生物多様性保全のための環境負荷低減など、持続可能な社会の実現に向けた企業の貢献が求められています。

当社は、こうした経営環境の変化にクレハグループ一体となり対応していくため、企業理念を「クレハグループ企業理念」に改訂し、また、当社が目指す方向性を明確にするため、「クレハビジョン」を新たに定めました。

新中長期経営計画

経営方針

クレハビジョンを実現するために、3つの目標と3つの最重要施策を定めました。

最重要施策 技術立社の再興 経営基盤の強化 会社と社員の共生 目標 継続的な経済価値の向上 社会課題解決への貢献 環境負荷低減への貢献

目標

継続的な経済価値の向上

  • 「環境・エネルギー」、「ライフ」、「情報通信」の3分野を重点事業分野とし、グループの経営資源集中による経済価値の向上
  • マーケットイン視点で既存商品の性能向上、バリューチェーン拡大を図り、コスト競争力をもって顧客への提案力を強化

社会課題解決への貢献

  • 自社による技術開発と外部技術の融合により、従来から社会貢献してきたクレハグループの商品・技術・サービスを進化させ、社会に提供する商品・技術・サービスを拡充

環境負荷低減目標への貢献

  • 2050年度にカーボンニュートラルを目指す
  • 循環型生産に適う生産技術の高度化を推進し、廃棄物削減やリサイクルの推進により環境負荷を低減

最重要施策

技術立社の再興

  • 新商品開発と環境負荷低減に資源を集中、差別化された商品の開発を加速
  • 他社との協創・協業、M&A等を通じ、自社保有技術と外部技術の融合による、新規事業の創出と拡大
  • 成長事業の生産体制構築と環境負荷低減に向けた生産技術力、エンジニアリング力の強化

経営基盤の強化

  • サステナビリティ経営を推進する組織の強化
  • グループの経営資源を有効活用した強固な連結事業基盤の構築
  • 顧客や社会の潜在ニーズと研究開発-製造-営業をつなぐバリューチェーンの連携により、経営高度化を実現するDX戦略の推進

会社と社員の共生

  • 「働きがい」と「ミッション」を調和・融合させ、社員と会社双方が成長
  • コミュニケーションを充実し、挑戦する社員を登用
  • 多様な価値観や立場の尊重、職場環境整備、障がい者が働く機会の積極的な提供

新中長期経営計画

クレハグループ新中長期経営計画
「未来創造への挑戦」(2023~2030年度)

クレハグループ企業理念とクレハビジョンの下、2030年度を見据えたクレハグループ新中長期経営計画「未来創造への挑戦」がスタートしました。

当社グループは、もとより環境負荷低減に貢献する機能製品、食環境の改善に貢献する化学製品や樹脂製品等を展開していますが、今後はこれらの商品価値のさらなる向上に加え、CO2排出量の削減や、廃棄物のゼロエミッション等のさまざまな社会課題の解決に向けて、具体策を講じていきます。クレハグループは「中長期的な企業価値の向上」と「持続可能な社会への貢献」を両立し、サステナビリティ経営を推進してまいります。

サステナビリティ経営実現に向けて

2030年度定量目標

売上収益 2,800億円
営業利益
(%)
350億円以上
12.5%以上
ROE 9.0%以上
エネルギー起源のCO排出量削減 2013年度比30%以上
廃棄物ゼロエミ率 1.5%

セグメント別業績目標

(億円)

2022年度
実績
2023年度
予想
2025年度
計画
2030年度
目標
売上収益 営業利益 売上収益 営業利益 売上収益 営業利益 売上収益 営業利益
機能製品事業 827 101 790 130 1,000 160 1,700 230
化学製品事業 318 18 346 12 300 10 340 20
樹脂製品事業 468 86 471 56 400 60 420 75
建設・その他 300 37 293 22 300 20 340 25
全社調整 ▲18
連結合計 1,913 224 1,900 220 2,000 250 2,800 350以上
機能製品事業 電池材料 :フッ化ビニリデン樹脂
機能性プラスチック:PPS樹脂、PGA(ポリグリコール酸)樹脂加工品
炭素繊維、球状活性炭
化学製品事業 農業・園芸用殺菌剤
慢性腎不全用剤
工業薬品:無機薬品、有機薬品
樹脂製品事業 家庭用品:「NEWクレラップ」、キチントさんシリーズ
塩化ビニリデンフィルム、熱収縮多層フィルム
建設・その他 建設関連事業
環境事業、運送事業

環境負荷低減目標

  • CO2排出量削減

    30%以上
    (2013年度実績比)

    2050年度のカーボンニュートラルを前提に、COフリーな自家発電燃料およびCOフリー電力の活用をすすめ、2030年度のエネルギー起源CO排出量削減目標を達成する。

  • 廃棄物ゼロエミ率

    1.5%

    • 2025年度に廃棄物ゼロエミ率1.5%を達成
    • 主力商品の生産増加に伴い、廃棄物増加が見込まれるが、これを縮減する技術、リサイクルする技術の開発等により、2030年度においてもゼロエミ率1.5%を維持する。
2013年度比エネルギー起源CO2排出量

株主還元目標

配当性向

将来の事業展開に向けて内部留保を充実させつつ、安定した株主配当を基本方針とし、目標配当性向を30%以上とする。

2023年度配当性向予想 31.7%

総還元性向

総還元性向は50%以上を目標とし、2025年度末までの3年間に200億円程度の自己株式を取得。そのうち2023年度には100億円(または120万株)を上限とする自己株式取得を実行。

2023年度総還元性向予想 96.2%

配当生向 自己株式の取得 業績に応じた配当 一株当たり利益・純資産の改善

研究開発・技術開発目標

環境・エネルギー

  • フッ化ビニリデン樹脂、PPS樹脂等の機能樹脂の性能向上と環境負荷・製造コスト低減の技術開発
  • 性能・コストで差別化したSiC繊維を市場投入し、航空宇宙産業分野へ参入
  • カーボンニュートラル実現のための技術基盤の確立

ライフ

  • 持続可能な農業と食料の安定供給に貢献する農薬の継続的な開発・上市
  • 環境負荷低減に資する製品開発

情報通信

  • 3Dタッチパネルの市場投入
  • 半導体用途向けに差別化された技術の確立および市場参入

クレハグループ新中長期経営計画『未来創造への挑戦』