2020.07.01

お知らせ

第52回市村産業賞 「貢献賞」 受賞 「高分子量ポリグリコール酸の製造技術開発と新市場開拓」

株式会社クレハの「高分子量ポリグリコール酸の製造技術開発と新市場開拓」が、公益財団法人市村清新技術財団主催の第52回市村産業賞において「貢献賞」を受賞しました。

市村産業賞は、リコー三愛グループの創始者である市村清氏により創設された「公益財団法人市村清新技術財団」が、日本の科学技術の進歩、産業の発展に顕著な成果を上げ、産業分野や学術分野の進展に多大な貢献をした個人またはグループを顕彰するものです。

このたびの受賞は、ポリグリコール酸(以下、PGA)の工業的製造法を世界で初めて確立させたこと、また、PGAが強度・ガスバリア性・耐熱性に優れた特性を有することを見出したこと、さらに一般樹脂と同様に溶融成形加工を可能とする技術の導入に成功したことにより、高機能型の生分解性樹脂として、工業用途向けに新たな市場を開拓したことが評価されました。

当社はこれからも、「どこにも無ければ、創ればいい。ナケレバ、ツクレバ。」の精神で研究開発を進め、価値ある商品を創出して、社会の発展に貢献することを目指してまいります。

PGAの概要

PGAは、分解性と金属代替可能な高強度の機能を持つプラスチックスです。現在、クレハでは「クレダックス」という商標でグローバルに展開しています。特にその特性からシェールオイル・ガスの掘削用途向けの部品に使用され、近年その販売量が増加しています。

PGAは、1930年代、米国化学会社により誕生した素材ですが、分解性が非常に高く、不安定な性質のため大量生産には向かず、手術用縫合糸などの限られた用途で小規模に生産されていました。
当社は、プラスチックスが環境へ及ぼす危機感から自然環境下で分解する生分解プラスチックスの研究を進めている中で、PGAの優れた物性に着目し、これまで確立されていなかった工業的生産の探求を開始しました。その後、独自の製造プロセスを確立し、世界で初めて大量生産技術の開発に成功しました。当社は、2002年からいわき市に所在する研究所においてパイロットプラントを、2012年からは米国にて商業プラントを稼働させ、生産を行っています。現在、分解性、強度、バリア性といった特長を活かして、シェールオイル・ガス採掘に使用されるプラグ素材として利用されており、その分解性は、採掘の工期短縮とコスト削減に寄与しています。

市村清新技術財団および市村産業賞について

市村清新技術財団(総裁は三笠宮家の彬子(あきこ)女王殿下)は、リコー三愛グループの創始者である市村清氏が、産業の国際競争における技術革新の重要性から、国内産業の競争力強化のために研究開発を推進することを目的として設立しました。
市村賞はわが国の科学技術の進歩、産業の発展に顕著な成果をあげ、産業分野あるいは学術分野の進展に多大な貢献をされた個人またはグループを表彰しています。主催者である財団の設立趣意から、日本国内の産業力強化に資する観点が重視されていることが特徴です。
市村産業賞は、以下を対象としています。

(1) 独創的・画期的で世界的に見て高い水準にあるもの
(2) その技術の実用化で新たな産業分野の創生や市場の拡大に効果が顕著なもの
(3) 産業・社会の発展に先導的な役割を果たし波及効果が大きく期待できるもの

市村産業賞
本 賞:賞金(2,000万円)、記念牌
功績賞:賞金(500万円)、記念牌
貢献賞:賞金(300万円)、記念牌

本資料のお問い合わせ先

記事関連:
株式会社クレハ 広報・IR部
TEL:03-3249-4651