技能研修センター ~製造現場の永遠の課題を追求し続ける~

人と社会

技能研修センター
~製造現場の永遠の課題を追求し続ける~

製造現場の土台である「安全」。
クレハにはこの「安全」を支える施設があります。それが技能研修センターです。
創設の発端は2003年頃にいわき事業所でのヒューマンエラーによる
事故や怪我が問題視されていたことでした。

内部での安全啓発は継続して行っていましたが、「より効果的な予防策はないか」と考えていた中で、
外部の体感施設があることに行き着きます。
社員がそのプログラムを受講したところ、実際に危険を体感することでしか得られない意識の変化があり、
クレハでも同様の研修センターを建てることを決意。
化学プラントで想定される危険を再現する設備をそろえ、2005年に開設しました。

以来、見るだけ、聞くだけの単調な講習にならないよう、様々な現場の事例をもとに意見を出し合い、
改造して、受講者の印象に残る体験ができるようにし続けています。

クレハの技能研修センター

技能研修センターは現場経験が豊富な講師8名体制で運営されています。ベテランの知恵と外部の知見の両方を取り入れながら、常にメニューの改善に取り組んでいます。過去の体験だけでなく、講師は今でもプラントのパトロールを欠かさず行い、少しでも印象に残る体感機器をと、作製・改造に励んでいます。体験者が飽きることがないよう、同じ名前の体感プログラムも内容が少しずつ改良されています。

体感はメニューを受講者自身が選ぶところから始まります。そうすることでより主体的に職場で起こりうる事故を考えるきっかけを提供しています。それ以外にも、過去の災害速報に対して類似したメニューを講師から提案し、より受講者に合った体感プログラムに仕上げます。

クレハの技能研修センター

注目のプログラム

1. 指差し呼称体感

指差し呼称とは作業前に作業箇所を指で差しながら、作業内容を声に出すことです。とてもシンプルですが、作業開始の基本になります。焦っていると疎かにされがちな行為ですが、指差し呼称をした場合としない場合のミスの多さを比較することで改めてその大切さに気付くことができます。担当講師もプログラムの効果を実感しており、クレハでは新入社員や入社1~2年目の研修に組み込むことにしました。五感で確認する大切さが伝わるプログラムです。

指差し呼称体感プログラム

2. ローラー巻き込まれ

回転体への巻き込まれは事故の件数も多く報告されています。回転が遅くても危険だという意識を持ってもらえるよう、改良を重ねているプログラムです。以前は消防ホースとの綱引きをして頂いていましたが、体に巻き付けて全身で引っ張られることで、体ごともっていかれる感覚を意識できるように変更しています。回転体の近くで、装置を止めずに作業してしまうことの根本意識には生産性を追求し、装置を止めたくないという考えがあると思います。そのような自分勝手な判断や省略行動を絶対にしないということも心に留めてほしいと思っています。

ローラー巻き込まれ体感プログラム

3. 粉じん爆発

クレハのような化学工場では粉体を取り扱う職場が多くあります。現場では袋破れや落下などで粉体が舞うこともあり、条件が整えば、いとも簡単に着火・爆発することを体感してもらうプログラムです。とてもインパクトが強く、受講アンケートでも多くの感想を頂きます。しかし技能研修センター発足当初は失敗が多かったので、改良を続けた結果、現在ではほぼ100%の再現率となりました。

粉じん爆発体感プログラム

製造現場の永遠の課題を追求し続ける

これからも講師陣は常に最新の状況を把握し、体感に反映するために現場のパトロールや外部から学ぶことを止めません。「安全に終わりはない」ので、いつまでも記憶に残る体感、印象に残る体感機器の作製と改造を目指しています。

関連情報

クレハの生産拠点

生産拠点

クレハは国内に2つの事業所を持ち、スペシャリティ製品を世界に供給しています。