化学物質管理

化学物質は私たちの生活を豊かにし、また、便利で快適な毎日の生活を維持するうえで欠かせないものとなっており、日常生活や事業活動において多くの化学物質が利用されています。一方で、化学物質の中には環境や人の健康に悪影響を及ぼすおそれがあるものも存在します。そうした悪影響をできるだけ小さくするために、化学物質管理に関する国際的な目標や戦略が策定され、それをベースに世界各国において化学物質法規制の整備が進められています。そしてそれは2015年に国連で採択された持続可能な開発目標(SDGs)へも反映されています。
クレハは、国内外の化学物質法規制を遵守して、製品を管理しています。また、製品が含有する化学物質の有害性などの情報を適切に収集し、国内外のお客様へ安全データシート(SDS:Safety Data Sheet) ・ラベルにより適切な情報提供を行うとともに、お客様からの製品含有化学物質に関する調査依頼にも適切に対応しています。さらに、必要に応じてそれらの情報を社内外に発信しています。
その他、製品ライフサイクルを通じて化学物質の法規制に適切に対応するために、各ステージに携わる関連部署への教育に継続的に取り組んでいます。

  • * 安全データシート:事業者が化学物質および化学物質を含んだ製品を他の事業者に譲渡・提供する際に交付する文書です。日本産業規格(JIS)の記載(化学品の危険有害性情報の伝達方法)に準拠してSDSを作成し、化学物質の使用者などに交付します。

目標 / あるべき姿

  • 地球環境の保全と人の安全・健康の確保のために化学物質の適正管理に取り組む。

2022年度計画

  • 化学物質による労働災害の防止
  • 法規勉強会を通じて、適用される法的およびその他の要求事項の広報・周知

2022年度報告・成果

  • 化学物質の製造および取り扱いのリスクを評価。リスクが高いと判定された作業については、リスク低減措置を実施
  • リスクアセスメント評価ツール(CREATE-SIMPLE)の導入により、危険性と有害性両面でのリスクアセスメントを強化
  • 米国・中国における化学品法規教育、毒物・劇物・廃棄物に関する法規教育の実施。2022年の安全衛生規則等の改正に対応したグループ内教育および情報の広報・周知

国内対応

クレハは、原料の入手から製品の製造・出荷までの一連の過程にわたって国内の法規制を遵守しています。また、製造における環境負荷の現状を国・県・地域の皆様に情報発信するなど、法に基づいた情報開示も推進しています。その他、品質および環境・労働安全衛生のマネジメントシステムを導入し、PDCAサイクルにより化学物質管理水準の向上にも努めています。

海外対応

クレハは、グローバルに事業活動を展開しています。海外での化学品の登録制度は、欧州のREACH規則をさきがけに、各国で整備が進んでいます。各国独自の制度・事情などにより複雑な状況となっていますが、当社のグローバル展開を下支えするため調査を実施し、輸出対象国への登録などを着実に実施しています。また、定期的に海外化学品法規関係の教育を実施し、法理解とコンプライアンス意識向上に努めています。

  • * Registration,Evaluation,Authorization and Restriction of Chemicals. :EUにおける化学品の登録・評価・認可および制限に関する規則

化学物質の排出量削減

クレハは化学物質による環境負荷をできるだけ小さくするために、生産活動にともなって事業所から排出される化学物質の削減を継続的に進めています。また、化学物質排出把握管理促進法(PRTR制度)に従い、毎年、第一種指定化学物質の排出量および移動量を把握して自社の状況を確認するとともに、公表しています。該当する各物質の排出量を削減するために、設備の改善検討や安定運転の継続を図るとともに、設備の増設や新設の際には、設計段階から環境負荷を抑制する方策を検討しています。

化学物質除去装置
化学物質除去装置