責任ある調達

クレハグループは、クレハグループ調達基本方針とクレハグループサプライチェーンCSRガイドラインに基づいて、サプライチェーン全体における社会的責任を果たすよう努めています。取引先に対しても、環境や社会への配慮を求めるとともに、公平・公正な関係の構築を目指しています。

方針

クレハグループは、調達活動を通じてクレハグループ企業理念を実践し、継続的な経済価値の向上と社会課題解決への貢献を推進するため、クレハグループ調達基本方針を2024年4月1日に制定しました。

クレハグループ調達基本方針

クレハグループ調達基本方針

クレハグループは、社会課題の解決に貢献する商品・サービスを提供すると同時に、サプライチェーン全体における社会的責任を果たすことにより、持続可能な社会の発展に貢献してまいります。調達活動におきましても、この基本的な考え方に則り、以下の方針に沿って責任ある調達を目指します。


1.法令遵守
クレハグループは、調達活動において、事業を展開する各国・地域の関連する法令・社会的規範およびその精神を遵守します。

2.公正な調達活動
クレハグループは、国内外に対して、公正で開かれた調達活動を行います。自由な競争の制限、贈収賄を禁止するとともに、適正な手続きにて調達活動の透明性を確保します。
取引先の選定においては、品質、価格、供給力・技術力等の能力や信頼性、地球環境と社会の持続可能性向上に対する取組等を考慮します。

3.取引先との連携
クレハグループは、取引先と連携して継続的に、品質の維持・向上、地球環境の保全、人権尊重に取り組みます。

クレハグループサプライチェーンCSRガイドライン

GRI 2-23

当社グループは、サプライチェーン全体における社会的責任を果たし、持続可能な社会の発展に貢献するために、取引先と当社グループの双方が遵守するべきCSRの取り組みの基準として、クレハグループサプライチェーンCSRガイドラインを2024年4月1日に制定しました。お取引にあたっての重要な事項として、取引先の取り組み状況を定期的に確認しています。
取引先から当社グループの調達に関する方針の理解と協力を得ていくことが重要と考え、取り組み状況の確認の際は改めてクレハグループサプライチェーンCSRガイドラインやクレハグループ調達基本方針を提供し、取引先とのコミュニケーションを深めています。

クレハグループサプライチェーンCSRガイドラインの項目、遵守すべき事項と主な内容
項目 遵守すべき事項 主な内容
1 法令遵守・国際規範の尊重 自国および事業を行う国/地域の適用される法規制を遵守するのみならず、国際行動規範を尊重します。 法令の遵守および国際規範尊重など
2 人権・労働 国連「国際人権章典」、国際労働機関(ILO)の「労働における基本的原則及び権利に関する宣言」をはじめ、国際的な人権基準を参照し、労働者の人権を尊重します。 強制労働の禁止・児童労働の禁止・適正な労働時間管理・差別の禁止・結社の自由・適切な賃金と手当・非人道的な処遇の禁止など
3 安全衛生 職務上の安全に対するリスクを特定・評価し、また適切な設計や技術・管理手段をもって安全を確保します。 労働安全・緊急時への備え・労働災害対策・労働者の健康管理など
4 環境 資源の枯渇や気候変動、環境汚染などの地球環境問題に積極的に取り組むとともに、関係する地域の人々の健康と安全の確保を考慮した地域の環境問題に配慮します。 エネルギー使用および温室効果ガスの排出量削減・水の管理・資源の有効活用と廃棄物管理・化学物質管理・生物多様性の保全など
5 公正取引・倫理 事業を展開する国・地域の法令・規制および国際行動規範を遵守することに加え、高い水準の倫理感に基づき事業活動を行います。 腐敗防止・不適切な利益の排除・適切な情報開示・知的財産の尊重・公正なビジネスの遂行・通報者の保護・責任ある鉱物調達など
6 品質・安全性 提供する製品やサービスの安全性ならびに品質の確保を行い、正確な情報を提供します。 製品の安全性の確保・正確な製品・サービス情報の提供など
7 情報セキュリティ 機密情報や個人情報の漏洩を防止し、情報セキュリティの強化を図ります。 サイバー攻撃に対する防御・機密情報や個人情報の漏洩防止など
8 事業継続計画 大規模自然災害などによって自社もしくは自社の取引先が被災した場合に、いち早く生産活動を再開できるよう準備します。 事業継続計画の策定と準備など
9 地域社会との共生 世界各国・地域の歴史、文化、伝統、慣習や宗教を尊重するとともに、事業を展開する国・地域の住民と積極的にコミュニケーションを図り、地域社会の発展と持続可能性の向上に貢献します。 地域社会との共生など
10 管理体制の構築 当ガイドラインの各項目を達成するために管理体制を構築します。 マネジメントシステムの構築・サプライヤーの管理など

「パートナーシップ構築宣言」制度への参加

クレハは、内閣府や中小企業庁などが推進する「未来を拓くパートナーシップ構築推進会議」の趣旨に賛同し、2024年に「パートナーシップ構築宣言」を公表しました。当社は、取引先との連携・共存共栄を進めることで、新たなパートナーシップの構築を目指していきます。

パートナーシップ構築宣言

マネジメント体制

クレハグループでは、サステナビリティ推進委員会の下部組織である人権部会において、「責任ある調達」の推進を図っています。サステナビリティ推進委員会は、取締役または執行役員が委員長を務めます。人権部会には、人権方針で取り組みを掲げた人権課題に関連する部署が参加し、サプライチェーンに関する人権デュー・ディリジェンスを含む人権尊重の取り組みを統括するとともに、年度計画の策定および進捗管理を行うこととしています。進捗および成果については、サステナビリティ推進委員会に報告され、経営層による適切な監督を受けています。

目標・実績

KPI 対象範囲 2024年度実績
CSR調査カバー率 クレハ購買先*1 85%
クレハ製造委託先*2 93%
  • *1
    2023年度調達金額総額に対する調査済み購買先への2023年度支払金額の比率
  • *2
    安定的な取引関係がある製造委託先数に対する調査済み製造委託先数の比率

取り組み事例

GRI 308-2

グリーン調達

クレハでは、より安全で環境負荷の低い製品・原材料の使用を進めるため、「グリーン調達ガイドライン」に基づいて原材料の調達を行っています。ガイドラインは、環境法規などへの対応のため適宜更新しています。新規取引先の選定の際には、「グリーン調達ガイドライン」の趣旨に則りながら社内基準を用いて評価を行い、総合的な判断により決定しています。必要に応じて「取引基本契約書」を取り交わしています。

サプライチェーンCSR調査

GRI 2-29, GRI 407-1, GRI 408-1, GRI 409-1, GRI 414-2

GRI 2-29, GRI 407-1, GRI 408-1,
GRI 409-1, GRI 414-2

クレハでは、2017年度から取引先のCSR推進状況を把握するための調査を定期的に実施しています。対象の購買先を取引規模・年数を基準として分野別に選定し、当社作成のチェックシートを送付・回収して、評価を行ってきました。2024年度からは目的を「クレハグループサプライチェーンCSRガイドライン」の遵守状況の確認に変更し、新たに作成した質問票を用いた調査を、購買先に加えて委託製造先に対しても実施しています。
2024年度は、購買先40社に対してガイドラインへの同意書の提出と質問票への回答を依頼し38社(95%)から回答を得ました。ガイドラインと照らして改善するべき問題が認められた購買先には、コメントをフィードバックし、改善を依頼しました。
製造委託先に対しては、当社と安定的な取引関係があるすべての委託先を対象とし、回答を依頼した29社のうち27社(93%)から回答を得ました。改善するべき問題が認められた製造委託先には、コメントをフィードバックし、改善を依頼しました。
フィードバックに基づく改善は次回以降のCSR調査などで確認を行っていきます。
なお、回答が得られなかった購買先と製造委託先については、各企業の開示情報により重要な問題がないことを確認しました。
この活動は当社グループ全体の取引先に対して必要に応じて順次拡張していく予定です。

取引先への訪問監査

「クレハグループ調達基本方針」に基づく購買業務の遂行をより確実なものとするため、国内外取引先に対する訪問監査を実施しています。

責任ある鉱物調達

クレハグループでは、責任ある鉱物調達の取り組みとして、取引先からの要請に基づき、対象鉱物(金、錫、タングステン、タンタル、コバルト、マイカ)のサプライチェーンを遡る調査を行っています。これまでの調査の結果、製品に紛争や人権侵害との関係が疑われる鉱物の使用は認められていません。