DXの推進

クレハグループでは、「DXの推進」を経営課題のひとつとして位置付けています。これまでに構築してきたDX活用基盤をもとに、データとデジタル技術を活用することで企業競争力を高めていきます。2017年度から始まり7年が経過したKureha DX(KDX)を振り返り、2024年度からクレハのDX戦略「KDX2.0」としてリスタートを図っています。
クレハが実践するDXは単なるデジタルを活用した業務の効率化ではなく、データとデジタル技術を活用することで、「経営判断の高度化」、「稼ぐ力の最大化」、「イノベーション推進」を実現するための取組みとしています。

経営者メッセージ

経営者メッセージ

DXで「ナケレバ、ツクレバ。」をさらに進化させる
平素より株式会社クレハをご支援いただき、誠にありがとうございます。
当社は創業以来、どこにも無ければ、創ればいい。「ナケレバ、ツクレバ。」を追求し、独自技術を通じて社会に新たな価値を提供してまいりました。特に、ポリマー技術や特殊化学品の分野で培った独自性は、当社の強みとなっております。
しかし、現代の社会は急速に変化しており、環境問題や資源の制約、そしてデジタル化の進展が、私たちの事業活動に新たな挑戦をもたらしています。このような変化に対応し、さらに一歩先をいく企業であり続けるために、当社は「デジタルトランスフォーメーション(DX)」を経営の重要な柱として位置付けています。
DXは、単なる技術導入ではなく、私たちの事業活動全体を革新し、クレハ「らしさ」をさらに進化させるための取組みです。当社では、以下の3つの視点を軸にDXを推進しています。

1. 独自技術の進化と効率化
クレハが誇る独自技術をさらに進化させるために、データ活用やAI技術を導入し、生産現場や研究開発プロセスの効率化を図ります。これにより生産現場での業務品質を改善し、また研究開発では迅速に市場ニーズに応える製品を生み出し、競争力を強化します。

2. 顧客価値の創造
デジタル技術を活用して各製品の顧客ニーズを深く理解し、個別化されたソリューションを提供することで、クレハならではの価値をお客様にお届けします。

3. 経営基盤の強化
データとデジタル技術を活用して事業ごとにROICを指標とした資本収益性を評価できるようにします。また主要製品からサプライチェーン全体の透明性を向上し、改善を進めます。これらの活動によって経営基盤をより強靭にしていきます。
DXの推進は、「ナケレバ、ツクレバ。」をさらに進化させるための重要なステップです。これを実現するためには、社員一人ひとりがデジタル技術を活用し、創造的な発想で新たな価値を生み出すことが不可欠です。当社では、社員が挑戦し続ける環境を整備するとともに、社外の協業各所様と連携をしながら、オープンイノベーションを通じてDXを加速させています。
クレハはこれからも、独自技術とデジタル技術を融合させることで、社会課題の解決に貢献し、持続可能な未来を築いてまいります。DXを通じて、クレハ「らしさ」をさらに進化させ、皆様に新たな価値をお届けすることをお約束します。
今後とも、株式会社クレハおよび当社グループへの変わらぬご支援を賜りますようお願い申し上げます。

株式会社クレハ
代表取締役社長 兼 CEO
名武 克泰

ビジョン

クレハ「DXビジョン」

私たちは、『ナケレバ、ツクレバ。』の精神に基づき、データとデジタル技術を活用して業務の生産性と品質を高め、独自性のある差別化した商品を通じて世の中のお客様に新たな価値を提供し続けます。

クレハグループ「DXビジョン」

マネジメント体制

クレハの全社DXを推進しているデジタル戦略推進部において、DXとIT領域に関する方針の立案・導入・運用を行っています。必要に応じて、組織横断的にプロジェクトやタスクフォースを組成して全社課題を推進しています。
また、2024年10月、当社グループにおける「DX」を戦略的かつ効率的に実行するため、代表取締役社長を委員長とする「DX実行委員会」を新設しました。重要テーマごとに各本部の本部長、事業部長、グループ会社社長などを委員として選定し、DXの進捗状況や業務変革・改善などの効果を確認します。定期的な開催に加え、突発的な対応が必要な場合には臨時会議も開催し、当社グループ全体のDX対応方針と各テーマの整合性を図ります。

マネジメント体制

目的

クレハ「DXビジョン」を実現するため、目的として以下を定めました。

  1. 経営判断の高度化
    社内各所に張り巡らせた各種システムから、異常を検知し(データの変化)、変化の予兆をいち早く把握することで、タイムリーな戦略見直しやリソースの再配分など、高度かつ迅速な経営判断を支援する。
  2. 稼ぐ力の最大化
    業務プロセスを抜本的に見直し無駄なオペレーションを削減し、自動化、デジタルによる効率化や少人化を進めコストダウンを図る。また新規顧客の創出・拡販による売上・利益増を実現する。
  3. イノベーション推進
    データやデジタル技術を活用して研究開発や工場などの既存業務のイノベーションを推進する。またこれらを実行することができる人財育成の教育基盤を整備する。

重点テーマと進捗

上記の3つの目的に従い、DX重点テーマとしてコーポレート、インフラ、本部・事業部の観点で下記の7つを設定し、推進しています。

(1) コーポレートテーマ
重点テーマ 目的 *1 目標 2025年度実績
経営管理システム 1, 2 事業別ROIC/WACCのモニタリングおよび適切な経営判断の実施 単体財務諸表報告を従来の運用からBIレポートへ移行し役員会で利用。毎月の経営層向け定期配信を開始
サプライチェーン最適化 1, 2 生産・販売・在庫のモニタリングと最適化
異常の発見と対応早期化
SCM改善サイクルの定着
フッ素製品事業をモデルにグローバル
PSI *2ダッシュボードの利用を開始。
また他事業への横展開に向けたシステム準備対応中
(2) DXインフラテーマ
重点テーマ 目的 *1 目標 2025年度実績
デジタル人財育成 3 全社員がデータやデジタルの高度利用を通じて業務改革・改善を行うことができる人財となることを目指す 当社のデジタル人財類型を再定義(データアナリスト、ビジネスデザイナー、ITエンジニア)し、オンライン学習を中心に実施。 データ分析・可視化や生成AIの業務活用を推進するDXリーダーを各部に設置しテーマを開始
DXインフラ基盤整備 3 データドリブン経営を支えるデータ分析基盤の整備
システムやデータの標準化・統合化を進めるITガバナンスの構築
・ROIC/PSIなどで利用するSAPや生産計画などからデータ分析基盤へのIFを構築し、BIツールで利用できる環境を完成
・SAP S/4HANAのバージョンアップ、Compatibility Pack対応を実施し、一連のSAPプロジェクトが完了。また、米国グループ会社の基幹システム更新プロジェクトを開始
(3) 本部・事業部テーマ
重点テーマ 目的 *1 目標 2025年度実績
デジタル・マーケティング 2, 3 製品の潜在顧客の発掘、顧客ニーズの的確な把握、最適な顧客対応の実施 営業支援システムをフッ素製品事業から機能製品事業へ横展開を完了。またウェブ広告やウェブページ改善を行い、営業部門の販促活動を継続して支援
マテリアルズ・インフォマティクス 3 計算科学による新素材探索の高確度化・迅速化 中期的テーマ:農薬開発を対象として実施
短期的テーマ:高機能製品(PGA、KFなど)を対象として実施
スマート・ファクトリー化
(生産・技術DX)
2, 3 工場設備の自動化による少人化とコストダウン推進、生産効率改善と品質向上、作業員の負荷軽減 クレラップを対象に生産計画システムの導入が完了し業務利用を開始、生産計画業務の効率化・高度化を推進
また、フッ素製品事業への横展開を開始
  • *1
    1:経営判断の高度化、2:稼ぐ力の最大化、3:イノベーション推進
  • *2
    「生産(Production)」「販売(Sales)」「在庫(Inventory)」

ボトムアップDXの取組み

クレハではDXのさらなる加速に向けて、上記の重点テーマに加え、各部門の現場担当者が主体となって業務改革・改善に取り組む全社的な推進体制づくりを進めています。

各部門で行っている日常的な業務の中でも、手間がかかる煩雑な業務があります。これらの業務は属人的でもあるため、改善が進まない状況でした。

今回、これらの業務にデータ分析・可視化や生成AIを活用し、現場主体で改善を進めるボトムアップ活動を開始しました。テーマを進めるにあたっては各部門にDXリーダーを設置しました。DXリーダーは、部門内の改善テーマを選定し、自らがデータ分析や可視化、生成AI活用に取り組みます。デジタル戦略推進部は各現場の主体的な改善活動を支援しています。

すでに取り組んでいる、またはこれから始めるテーマは以下を想定しています。

分類 領域 内容
データ分析・可視化 経理財務 膨大なERPのデータをもとに手作業で作成している資金管理資料の分析の高度化
生産 Excelを用い属人化作業で管理している塩素の生産・消費計画表の自動化による作業工数削減
研究 測定データの可視化・データベース化により機械学習を用いた素材物性の目標値を実現する処方予測
生成AI活用 経理財務 生成AI活用による経費精算システムのマニュアル検索やQA対応の効率化
生産 生成AI活用による工場の危険予知活動やリスクアセスメントの高度化。類似事故情報の抽出、事故調査・対策立案の実現
研究 手書きの製造日報・記録のAI-OCRによるデジタル化と、可視化・分析での活用による生産性向上

「DX認定事業者」の取得

当社は、経済産業省が定めるDX(デジタルトランスフォーメーション)認定制度に基づき、「DX認定事業者」として2025年9月1日に認定されました。
DX認定制度とは、経済産業省が定める、「デジタルガバナンス・コード」に 沿ったすべての項目(ビジョン、戦略(DX、DX推進体制、マネジメント体制、人財育成)、セキュリティ対策、評価KPIの設定など)において基準を満たしており、またステークホルダーに向けた情報開示ができている企業に付与されるものです。

DX認定制度ロゴマーク