気候変動緩和

気候変動の緩和に対する取り組み

世界的な気候変動対策としてパリ協定が締結され、日本をはじめ先進諸国の多くは2050年までのカーボンニュートラルを宣言して温室効果ガス(GHG:greenhouse gas)の排出削減対策や、さらなる削減に必要な技術イノベーションの推進を積極的に進めています。カーボンニュートラルの実現に向けた気候変動への対応は、当社グループにおいても最重要課題の1つであり、以下の基本方針のもと、グループ全体で取り組んでいきます。

  • *カーボンニュートラル:温室効果ガスの排出量を全体としてゼロにすること。すなわち、排出量と吸収・除去量を差し引きゼロ(ネットゼロ)にすること。

気候変動対応の基本方針

気候変動への対応はクレハグループにおける最重要課題の1つであり、企業の社会的責任を果たすべく、事業活動に関連して排出されるGHGの積極的な削減に努める。

当社は2020年度に、グループ全体のエネルギー使用の状況およびCO2排出実態調査、今後のエネルギー需要の見込み、グループ各社が所在する国・地域の状況やさまざまな対応策に係る情報調査をもとに、2030年度のCO2排出削減目標を以下の通り策定しました。

クレハグループのCO2排出削減目標

2030年度までに段階的に削減を進め、クレハグループのエネルギー起源CO2排出量を絶対量で2013年度比20%削減の37.6万トンとする。

(2013年度のクレハグループのエネルギー起源CO2排出量は47.0万トン)

この目標の達成に向け、いわき事業所の石炭火力発電所の稼働抑制、それ以外の事業所やグループ会社における主力電源の再エネ電力へ切り替え、大規模設備・機器の更新時の高効率化、そして各種省エネ活動の推進を計画に沿って進めていきます。
また、2021年4月からは、独立した「カーボンニュートラルコミッティ」を社内に組織し、専任担当者が中心となり、削減目標のさらなる向上やカーボンニュートラルを2050年より前倒しで達成することを目指して、新たな施策検討や技術開発に取り組み始めています。

KUREHA RC TOPICS

「令和2年度気候変動アクション環境大臣表彰」受賞

「発電由来燃焼灰の改質による
超低環境負荷型コンクリート製品の実現」

~株式会社クレハ、西松建設株式会社、北九州市立大学 高巣・陶山研究室、
日本アイリッヒ株式会社、九州工業大学大学院 合田研究室による共同研究~

建築業の基幹材料であるコンクリート製造時のCO2排出量は、その90%以上が含有するセメントに由来しています。近年、「セメントを使わないコンクリート」として、セメントに比べて極めて環境負荷の小さい新たな建設材料であるジオポリマー(あるいは、ジオポリマーコンクリート)が注目されています。
このジオポリマーの製造に必要な材料のひとつとして、石炭灰や高炉スラグ微粉末などが用いられますが、これらはコンクリートの流動性に影響を及ぼすため、これまではその使用割合を3%以下とする必要がありました。このたび受賞した技術は、独自の浮遊選鉱技術により、材料としての石炭灰(発電由来燃焼灰)の品質を高めたもので、その使用割合の増加を可能としました。これにより、従来のコンクリート製品に比べCO2排出量を50%削減でき、建設分野における気候変動緩和に貢献するだけでなく、石炭灰の有効活用により資源循環を促進できる点が評価されました。
当社のいわき事業所は、石炭火力発電設備を保有しています。そこから排出される石炭灰は、産業廃棄物として処理をする必要があり、地球環境の保全における課題と認識していました。本研究開発は、この課題への対応として検討したものであり、実用化を実証しました。当社はこれからも気候変動や資源循環への取り組みを積極的に進め、持続可能な社会の発展に貢献することを目指していきます。

  • *ジオポリマー:産業副産物である石炭灰、高炉スラグ微粉末などを特殊な溶液で固化させた新しい建設材料。セメントに比べCO2排出削減に貢献できる環境にやさしい材料として注目されている。

サプライチェーン全体のCO2排出量

企業活動による温室効果ガスの排出に関しては、①燃料や電力などの使用にともなう自社の直接排出(Scope1)、②他社から購入した電気、熱、蒸気などのエネルギー使用にともなう間接排出(Scope2)に加え、③Scope2以外の、原料調達から廃棄にいたるまでのサプライチェーンを通じた間接排出(Scope3)の管理も重要であり、開示の要請も高まっています。当社においては、2017年度からScope3(一部)も含めた報告を行っています。

サプライチェーン排出量におけるScope1、Scope2およびScope3のイメージ

サプライチェーン排出量におけるScope1、Scope2およびScope3のイメージ

出典:環境省「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドライン(ver.2.3)」を改変

CO2排出量のScope別内訳(対象範囲:クレハ)

(単位:千t-CO2
  CO2排出量
2017年度 2018年度 2019年度 2020年度
Scope1 363 338 356 340
Scope2 34 42 31 31
Scope3 7 7 6 6
  • *Scope3は、カテゴリ4(輸送、配送(上流))、6(出張)、7(雇用者の通勤)、9(輸送、配送(下流))の合計量

エネルギー起源CO2排出量の推移(対象範囲:クレハグループ)

(単位:千t-CO2
  エネルギー起源CO2排出量
2013年度 2016年度 2017年度 2018年度 2019年度 2020年度
クレハ 431 380 389 370 376 363
国内グループ会社 21 15 13 22 23 21
海外グループ会社 18 20 35 30 28 28
合計 470 415 437 423 428 412

Scope1、Scope2におけるCO2排出量と削減の取り組み

クレハの状況

いわき事業所では、省エネ機器への更新を計画的に進めるなど、エネルギー削減計画を着実に実行に移すほか、省エネパトロール、エネルギー内部監査などさまざまな活動を実施し、省エネを推進しています。樹脂加工事業所においても、エネルギー内部監査の結果を水平展開するなどして設備の効率的使用に努め、本社などその他の事業所においても、それぞれ節電、省エネ活動を推進しています。
2020年度は、このような活動の結果および自家発電所の定期修理(隔年で実施)の年ということもあり、前年度と比較して石炭使用量が減少し、エネルギー使用量およびCO2排出量が減少しました。ただし、コロナ禍の影響で、生産量が大きく減少したため、エネルギー原単位は前年度比で悪化しています。
なお、いわき事業所では、日本の再生可能エネルギー普及の方針に沿って敷地内に太陽光発電設備を設置し、毎年、約300MWhの発電量(約150トンのCO2排出量削減に相当)を地域に供給しています。

クレハグループの状況

当社グループは、米国、欧州、中国、ベトナムなどに生産拠点を有しています。エネルギー政策は各国の事情により異なりますが、各生産拠点では、それぞれの国の施策に沿って使用電力を再生可能エネルギーに切り替えるなど、積極的に気候変動緩和策を推進しています。例えば、欧州に拠点を置くKREHALON B.V.では、既に使用電力の100%を再生可能エネルギーで賄っています。また、中国に拠点を置く呉羽(上海)炭繊維材料有限公司も、積極的に太陽光発電の導入を進めています。
これからも、新たに作成した中長期CO2削減目標やカーボンニュートラルコミッティでの活動をもとに、グループ一丸となって温室効果ガスの排出削減に努め、気候変動の緩和に向けて社会的責任を果たしていきます。

エネルギー使用量

エネルギー使用量
  • 2017年度から、海外グループ会社の値には、呉羽(常熟)フッ素材料有限公司、Kureha PGA LLCなど4社の値を追加しています。

CO2排出量

CO<sub>2</sub>排出量
  • 2005年は、「低炭素社会実行計画」に基づく当社独自の長期目標「クレハECO2アクション20」(2005 年度を基準とし、2020 年度のBAU CO2排出量の10%以上削減)の基準年であり、2013年は、2020年度に策定したクレハグループ中長期CO2排出削減目標の基準年を表しています。
  • 2017年度から、海外グループ会社の値には、呉羽(常熟)フッ素材料有限公司、Kureha PGA LLCなど4社の値を追加しています。

物流における気候変動緩和の取り組み

物流においても、当社製品の輸送を担うクレハ運輸と社内関係部署が協働して、エネルギー原単位の年平均1%以上改善という目標達成に向け、さまざまな取り組みを行っています。

  • 省エネ車両の採用、車両大型化
    営業部門や輸送協力会社と共同で、省エネ車両への計画的な更新や車両大型化によるCO2排出削減および総輸送距離の短縮に継続して取り組んでいます。特に小名浜港からいわき事業所への原燃料輸送車両の更新・大型化を進めており、輸送効率の向上とCO2排出削減に大きく寄与しています。
  • 鉄道・船での輸送によるモーダルシフト推進
    長距離輸送では、すでに一部において環境負荷の低い鉄道・船を活用していますが、さらに活用範囲を広げられないかを検討しています。

そのほかには、物流業務や保管施設改革にも継続的に取り組んでおり、物流倉庫の最適配置や輸送効率化の面からも環境負荷軽減を推進しています。こうした取り組みの結果、2020年度のエネルギー原単位は前年度比で改善し、CO2排出量も前年度に比べ減少しています。また、2016年度からの5年間平均原単位変化において年平均1%以上改善という目標を達成しています。

  • *クレハのエネルギー原単位指数(物流):2006年度改正省エネ法に基づき、この年度のクレハの特定荷主としてのエネルギー原単位(エネルギー使用量/輸送重量)を100とした指数。

物流におけるCO2排出量およびエネルギー原単位指数

CO2排出量