クレハのCSRについて

トップメッセージ

「企業は何のためにあるか」を改めて問い、社会への貢献を今まで以上に意識した経営を推進していきます。

クレハグループの概況

新型コロナウイルスによる感染は、いつ完全収束するか予測できない状況が続いています。6月末時点では、世界で1,000万人が感染し50万人が死亡、国内でも18,600人が感染し970人が死亡と発表されていました。感染により影響を受けられた方々に心からお見舞い申し上げるとともに、医療の最前線で感染者の治療に当たっている医療関係者の皆さんに心より感謝いたします。

2月の以降の国内での感染症関連の動向に対し、会社として、従業員の安全確保、感染拡大防止や事業継続のため各事業所に対策本部を設置し、従業員の健康管理の体制強化、出張の延期・中止や在宅勤務実施の措置を講じてきました。
このウイルスとの戦いは長期戦を覚悟しなければならないと考えます。どの程度、世界経済、日本経済、ひいては当社の業績に影響するかは正直なところ想定できません。国際通貨基金(IMF)は2020年度の世界経済が大恐慌以来、最悪の不況となると予想し、国内でも2020年度は一部産業を除いて大幅な減収減益が見込まれており、深刻な景気悪化の可能性が高くなっています。
今も、全世界がこのウイルスとの戦いの最中にありますが、当社の歴史も苦難との戦いの連続でした。私が思い出せるだけでもオイルショック、バブル崩壊、リーマンショック、東日本大震災など、さまざまな危機に直面してきました。しかし、これらの危機や試練を「不撓不屈」の精神で従業員一丸となって乗り越え、76年という歴史を刻んできています。クレハグループはコロナ禍の中にあっても、2019年度の連結業績として前年度比で売上減、営業利益は僅かながら増益でした。まだまだ課題は山積していますが、当社グループの利益体質が近年着実に強化され、大きな変化があっても一定水準の利益創出が可能になりつつあります。当社グループにとって、新型コロナウイルス感染症の影響はこれまでのところ総じて軽微ですが、今後、厳しい局面が訪れる可能性は十分にあります。グループ従業員が一体となって危機突破に取り組み、必ずやこの危機を乗り越えていきます。

中期経営計画「Kureha’s Challenge(クレハの挑戦)2020」
2019年度の業績振り返り

2019年度は、前中計「Kureha’s Challenge(クレハの挑戦)2018 」で未達となった重点施策を完遂し、将来の発展に向けた土台を固めることを目標とした中計「Kureha’s Challenge(クレハの挑戦)2020」の初年度でした。
当社にとって良好な事業環境下にあった2018年度は、連結、単体業績ともに前年度比大幅な増益でしたが、2019年度はその反動もあり、連結業績は売上収益1,424億円、営業利益180億円となりました。売上収益は、建設関連や環境分野、家庭用品(NEWクレラップ)が好調に推移したものの、天候不順や半導体市場低迷により農薬や国内グループ会社で減収、また、ボトル事業の売却も影響し、全体として前年度比59億円の減収でした。営業利益は事業利益外で、土地売却や新規連結、ボトル事業の譲渡等による収益134億円があった一方、PGA事業の構造改革費用106億円等の費用114億円を計上した結果、前年度比9億円の増益でした。PGA事業の構造改革費用は、多額な設備投資と未確立技術の導入から来る負の遺産を先送りせずに処理したものです。なお、本業の業績を示すセグメント別営業利益は、売上収益減収に伴う限界利益減少はあったものの、主要原材料の市況軟化及びコスト削減効果も寄与し、対前年度14億円減益の160億円に留まりました。

2020年度の取り組み

2020年度、コロナ禍による経営環境の悪化は想像を超えており、現時点でこれを全て反映した予算策定は難しく、また、中計の連結営業利益の目標である180億円の達成も困難と言わざるを得ません。
現下においてまず為すべきことは、今後想定される経済不振下にあっても、将来に向け盤石な体制を固めること、中計の経営目標として掲げた重点施策①PGA事業の拡大と利益創出、②PVDF事業の更なる拡大、③既存事業のビジネスモデル最適化、④新規事業の国内外における探索と育成、⑤経営基盤の強化、に果敢に挑戦し完遂することと認識しており、これに邁進していきます。
また、コロナ禍にあっても生産は継続し、包装材工場ではフル生産を実現しています。安全、安心を最優先とするこれまでの方針を変えず、中長期的には設備の長寿命化、安定運転は価値あるものと認識して十分な資金を投じながら工場保全対策を図ると同時に、市場で勝てるコスト構造を実現すべく尽力していきます。
そして、技術立社の当社にとって、他社になく、当社にしか持ち得ない企業価値は、独自の技術開発によってユニークで差別化された素材、生産技術、加工品を創出し、社会に貢献していくことにあります。市場ニーズに合致したモノづくりを基本とし、研究開発テーマをしっかりゲート管理して成功確率を高めていきます。
経営基盤の強化は永年の課題です。SDGs(持続可能な開発目標)に代表されるさまざまな社会的課題への対応、デジタル化の活用、人口減少の趨勢の中での効率化や機能強化を実現しなくてはなりません。その基盤は人財の資質・能力と意欲の向上にかかっています。新たな人事制度の導入や今回の感染症での経験を通して提起された働き方改革にも大きな一歩を踏み出していきます。

コロナ禍に思うこと、そして改めて社会にとって不可欠な会社を目指します。

私個人としては、今回の新型コロナウイルス感染症という未曽有の事態を経験し、今まで当り前と感じていた現実を失ってみて、その価値を痛感しました。健康に楽しく、周りの人たちと言葉を交わし、笑って過ごすことがかけがえのない貴重な財産であることを実感しました。この経験を通して、私達を取り巻く社会環境のさまざまな弱点、課題も鮮明になってきました。突発事象が発生した時に、迅速に対応出来る仕組み作りが急がれます。これは、当社グループも例外ではありません。さらに、これが契機になって、世界中で社会の、そして個人の行動様式が大きく変容していくでしょう。「3密」を回避する非接触の社会、テレワークや在宅勤務の加速化、そしてそれは個人の意見、アイデアを発信する方法にも変化をもたらします。デジタル技術が急速に進化し、新たな製品・サービスが商品化され、この変化を後押しするでしょう。
コロナ禍収束後の「ニューノーマル(新常態)」とはどんなものになるのか、現時点では全体像が見通せませんが、社会の要請や消費者ニーズは確実に変わっていきます。ESG経営の重要性が叫ばれている現在、「企業は何のためにあるか」を改めて問い、この新しい社会への貢献を今まで以上に意識した経営を推進する必要があります。常に、社会の動き、変化に着目し、コロナ禍収束後、社会は、個人はどう変化するのかを想定し、議論し、その対応を準備していきます。

「先行きにあまり悲観的にならず、今出来ることを日々しっかりやる。そして将来のために準備する必要のあるものに挑戦する。」
私は、まず従業員とその家族が、今後、新型コロナウイルス感染症の第二波、第三波が来るかもしれない中で健康でいられるように最大限の配慮をしていきます。また、クレハグループの存続繁栄、すなわち従業員の生活基盤を守り、さらに、構造変革を通し会社が持続的に成長し、高収益企業であり続けられる基盤を盤石にし、社会に必要とされる存在であり続けられるようにしていきます。
今後とも、一層のご理解とご支援を賜りますよう、お願い申し上げます。

2020年8月

代表取締役社長 小林 豊