多様な人財の活躍

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クレハグループは、クレハビジョン「独自技術でスペシャリティを追求し、未来を拓く社会貢献企業」を実現するため、「多様な人財の活躍」をマテリアリティに位置づけています。そのため、経営戦略や事業ニーズに合わせ、年齢・性別・国籍などを問わず能力や実績など人物本位を基本とした異なる知見・経験を有する多様な人財が活躍する会社を目指しています。
ビジョンの実現とマテリアリティの達成に向けて、現在の中長期経営計画においては、「会社と社員の共生」を重要施策として掲げ、人財育成、働きやすい社内環境整備や健康増進、従業員のエンゲージメント向上を目指しています。

マネジメント体制

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クレハのコーポレートガバナンス体制に則し、取締役会は人財育成の方針、人事制度などの重要事項の決定を行っています。また、取締役会は、定期的に執行部門である人事部門から多様な人財の活躍に向けた取り組み状況について報告を受け、監視・監督を行っています。
多様な人財の活躍に向けた取り組みにおいては、本社および事業所の人事部門が連携し、諸施策の検討・推進にあたっています。また、グループの人事部門全体で人事諸施策のみならず、人財育成や健康増進に向けた取り組みなどについても情報共有・意見交換を行い、クレハグループ全体で人財育成やワーク・ライフ・バランスの充実、健康増進、職場環境の整備に向けた取り組みを推進しています。

戦略

人財の育成・活躍

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クレハグループの人財育成の基本的な考え方は、「多種多様な強みを有し、期待される役割と職務を確実に遂行できる人財」、「自律的にキャリア意識を持って継続的に自己成長していく人財」を育成することです。
これを実現するため、従業員一人ひとりの自律的かつ継続的な成長を支援する、職場内での教育や体系的な各種研修プログラム、自律的キャリア開発支援など、さまざまな施策を積極的に進めています。

人材育成体系

人財育成体系図
一般社員 幹部社員

階層別研修

  • 役割行動研修
  • 上級企画開発研修
  • 中級企画開発研修
  • 企画開発職系転換者研修
  • 職系・職種別フォロー教育
  • 履修教育
  • 新入社員導入教育
  • 幹部社員昇進者研修
  • 新任ラインマネージャー研修
  • 評価スキル向上研修

目的別研修

  • 次世代リーダー交流研修
  • リーダー研修
  • メンター研修
  • 論文審査制度
  • 上司力向上研修(コーチング編)

  • 新商品・新事業開発研修
  • PST(Practical Skills Training)
  • 技術経営研修

  • TOEIC・TECC
  • オンライン英会話研修
  • 英語Eメールライティング研修
  • オンライン中国語会話研修
  • 多国語会話研修
  • 海外留学

  • シニアデータアナリストコース
  • デジタル人財基礎研修

応募型研修

  • eラーニング
  • 通信教育
  • マネジメント編
  • 社内外講師によるセミナー

自律的開発支援

  • ミドル・キャリアセミナー
  • キャリア面談
  • キャリア研修
  • 育成計画書
  • * 一部見直し中の研修も含まれています。

技術系人財の育成

ものづくりの技術立社としてクレハが成長し続けるためには、技術系人財の活躍が不可欠です。技術系人財育成委員会による教育プログラムのもと、育成を推進しています。

女性活躍推進

女性活躍に向けては、将来の幹部候補として期待される女性従業員を選抜し、経営やマネジメントに関する知識・スキルの習得とマインド醸成を目的としたプログラムを継続的に実施しています。

働きやすい社内環境整備

当社は、従業員一人ひとりが、柔軟で生産性の高い働き方や人生の各段階に応じて多様な働き方を選択し、やりがいや充実感を得ながら活躍することを目指しています。
そのために、従業員が仕事と家庭生活、子育て・介護などのライフイベントとの調和を保ちながら活き活きと働けるよう、フレックスタイム制度、在宅勤務制度、半日単位・時間単位の年次有給休暇制度など各種制度の充実に取り組んでいます。また、制度内容の理解を深め利用を促進するため、セミナーの開催やガイドブックの作成・広報を行っています。

主な制度概要

柔軟な働き方

半日年次有給休暇

時間単位年次有給休暇

積立年次有給休暇 *1

フレックスタイム制度

在宅勤務制度

リフレッシュ制度 *2

自己啓発支援

配偶者海外転勤休職制度

育児

時間外勤務・休日出勤・深夜勤務の制限・免除 *3

育児休業 (子が2歳に達する日まで)

出産育児休業

育児時間

育児短時間勤務 *4

育児休暇 (出生後6週間以内の子の養育:5日まで・有給)

看護休暇 (年5日/人・年10日/2人以上) *4,*5

下表中の★は、当社独自の制度あるいは法定を上回る内容の制度

妊娠・出産

時間外勤務・休日出勤・深夜勤務の制限・免除

勤務時間変更、業務配慮・負担軽減 (有給)

勤務時間内の通院 (有給)

産前産後休暇 (産前産後6週・有給)

慶弔休暇 (配偶者等出産時) (3日まで・有給)

介護

時間外勤務・休日出勤・深夜勤務の制限・免除

介護休業 (3回、通算2年まで)

介護短時間勤務 (通算3年まで)

介護休暇 (年10日/人・年20日/2人以上) *5

  • *1
    失効した年次有給休暇を積み立て、介護、社会貢献活動、自己啓発、子の世話、不妊治療などに使用でき、半日単位で取得可能。
  • *2
    キャリアプランやライフプランを改めて見つめ直すとともに労働意欲を喚起することとを目的として、一定の年齢時期に心身をリフレッシュする機会を提供する(満40歳時に10万円、満50歳時に20万円を支給)。
  • *3
    育児の場合、小学校就学前の子を養育する従業員が対象。
  • *4
    小学校卒業の年度末まで取得可能。
  • *5
    半日単位・1時間単位で取得可能。

従業員の健康増進

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当社グループは、健康基本方針を「従業員の健康を会社の成長を支える基盤と考え、健康保険組合と協働で、従業員が自ら健康を保持・増進することを支援します。」と定め、健康経営戦略マップを作成し、グループ全体で従業員が健康で活き活きと活躍・成長できる環境づくりに取り組んでいます。

健康経営戦略マップ

健康保持・増進体制の整備

代表取締役社長を最高経営統括責任者、取締役管理本部長を健康経営責任者として、各事業所の人事、安全衛生担当責任者と健康保険組合を構成メンバーとする「健康増進会議」を設置しています。同会議は全社の健康管理全般について統括するほか、クレハ健康保険組合と協働で、各事業所において従業員の健康状態を把握し、健康の保持・増進、職場環境や労働安全などに関する施策を実施しています。
また、グループ各社の人事総務部門の担当責任者が出席する「グループ健康増進会議」を開催し、従業員一人ひとりの自律的な健康管理の実現と従業員の意欲と活力の向上を支援しています。

従業員の健康リスク軽減、心と身体の健康保持・増進

生活の基本になる食事習慣、運動習慣などの生活スタイルの見直しや、メンタルヘルス不調などのストレス関連疾患の予防と早期発見により、従業員の健康リスクを軽減し、心と身体の健康保持・増進を図っています。

エンゲージメントの向上

従業員の会社への心理的なつながり(エンゲージメント)はクレハグループの持続的な成長に必要不可欠です。従業員が会社へ心理的なつながりを感じる価値観は、「会社を誇れる、職場の仲間が好き、日々の仕事が楽しい」から「会社のビジョンや方針に共感できる」「仕事を通じて自分が成長する機会がある」までさまざまであり、それぞれが従業員の意欲高く働く原動力になると考えています。このため、2023年度よりエンゲージメントサーベイを開始しました。
当社は、エンゲージメントサーベイの結果から得られた課題を分析し、エンゲージメント向上に向けて、以下の取り組みを進めています。

経営層と従業員の相互理解促進

タウンホールミーティングを開催し、経営トップとの対話や経営層との少人数型の対話により、ビジョンや経営方針の明示・浸透や、経営層と従業員の相互理解を図っています。

ラインマネージャーによる部門別エンゲージメント向上施策の実行

ラインマネージャー層を対象とした、エンゲージメントに関する説明会や向上施策を検討するワークショップを開催し、部門ごとの課題分析やエンゲージメント向上に向けた計画立案・実行をしています。

目標および実績(クレハ)

該当戦略 指標 2023年度
実績
2024年度
実績
目標
(2025年度/2030年度)
人財の育成・活躍 管理職における女性割合*1(%) 7.6 8.7 2025年度:現在の割合以上
2030年度:10%以上
教育機会満足度*2(%) 50.7 47.2 2025年度:継続的な向上
2030年度:継続的な向上
働きやすい社内環境整備 年次有給休暇取得率(%) 88.1 84.9 2025年度:80%以上継続
2030年度:80%以上継続
男性従業員の育児休業などおよび育児目的休暇の取得率(%)*3 77.7 97.3 2025年度:75%以上
2030年度:80%以上
従業員の健康増進 健康経営優良法人認定*4 認定 認定 2025年度:認定
2030年度:認定
プレゼンティーズム*5(%) 22.2 22.2 2030年度までに:20%以下
エンゲージメントの向上 ワークエンゲージメント(偏差値)*6 50.9 51.0 2025年度:継続的な向上
2030年度:継続的な向上
  • *1
    「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64)の規定に基づき算出
    管理職=幹部社員、理事、参与、執行役員
  • *2
    自身のキャリアに役立つ教育機会が与えられていると感じている従業員の割合
  • *3
    「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)における育児休業などおよび育児目的休暇の取得割合を算出
  • *4
    経済産業省と日本健康会議が共同で実施する「健康経営優良法人(大規模法人部門)」への認定
    2021年より連続して選定されています。
  • *5
    従業員が心身の不調を抱えながら仕事をしている状態
    東大1項目版を用いて集計:計算式  100% - 回答値
  • *6
    「仕事に対する熱意や姿勢」をあらわす指標

取り組み事例

女性活躍推進法に基づく行動計画の推進

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クレハは、従業員一人ひとりがそれぞれの持ち味を活かし、能力を十分に発揮できるように、仕事と生活の調和を図り、働きやすく働きがいのある雇用環境の整備を行うため、女性活躍推進法に基づく行動計画を策定し、推進しています。

長時間労働の抑制

過重労働防止や健康管理の観点から長時間労働を抑制するため、クレハでは2016年度から「時間外勤務の事前申請制度」を導入しています。また、独自に定めた社内基準を超える時間外勤務を行った従業員については、発生原因と翌月以降の見通しについて所属長が確認し、恒常的な長時間労働とならないよう管理しています。また、勤務実態を適切に管理できるようPCログを活用し、勤務時間の適正な管理と長時間労働の抑制を図っています。

育児・介護関連

クレハは、従業員がその能力を十分に発揮できる環境づくりに取り組むとともに、育児・介護休業、短時間勤務、育児・看護・介護休暇など、育児や介護の状況に応じて男女ともに利用しやすい制度を整えています。また、制度内容の理解を深め利用を促進するため、「仕事と家庭の両立支援制度ガイドブック」を作成し、従業員が常時閲覧できるイントラネットに掲示しています。

仕事と介護の両立支援

クレハでは、介護休業期間を通算2年(3回まで)とするなど、法定を超える制度を整えています。また、各種制度の理解を促進するため「仕事と介護の両立支援ハンドブック」を作成し、従業員に周知しています。ハンドブックには社内制度だけでなく、公的な介護保険制度の解説や、その具体的な使用例などを盛りこみ、従業員が実際に活用しやすい内容としています。このほか、外部講師を招いたオンラインセミナーを開催するなど、従業員に対し、介護に関する情報提供を積極的に行っています。

生活習慣病の予防と健康管理の充実

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クレハは、生活習慣病予防に向け、健康診断の100%受診と二次検診の受診推奨や、生活習慣病対策の必要な従業員に対して産業医や保健師などによる保健指導を行い、従業員のセルフケアの推進をサポートしています。また、健康保険組合主催のウォーキングイベントや、外部講師によるストレッチレッスンなどの企画を定期的に実施して運動機会の増進を図っています。女性には就業時間中に受診できるがん検診を実施し、乳がん・子宮がんの早期発見・早期治療につなげています。また、従業員が⾃⾝の健康診断の結果の履歴をPC上で閲覧できる環境整備に取り組んでいます。

メンタルヘルスケアの推進

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従業員の心の健康の保持・増進のために、研修やeラーニングの定期的な実施やストレスチェックの集団分析結果の見方説明会などを開催して、メンタルヘルス不調の未然防止と職場環境の改善に努めています。また、外部専門機関のカウンセラーが対応する相談窓口の設置と利用の推奨や、希望者を対象に産業医と面談ができる体制を整え、産業医による面接指導を実施しています。休職者には円滑な職場復帰を支援する復職支援制度を整え、サポートを行っています。

禁煙の推進

GRI 403-6, SASB RT-CH-320a.2

受動喫煙による健康への影響を考慮して、事業所建物内の喫煙室の閉鎖や禁煙講習会の実施などに努めるとともに、健康保険組合による「禁煙チャレンジ(禁煙に挑戦する従業員に助成)」を推奨して、喫煙者が禁煙に向けて動き出す環境づくりを進めています。2025年度から、就業時間内禁煙を実施しています。

労使との関係

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クレハ労働組合には、会社と特別に協議決定した者を除き、一般社員全員が加入しています。なお、労使間の交渉結果は会社と特別に協議決定した者を含めたすべての一般社員に適用されます。
クレハとクレハ労働組合は、労使の建設的な意見を尊重する場として「経営協議会」を毎月開催し、会社の経営状況や諸課題について共通認識を持つとともに、ワーク・ライフ・バランスの諸施策をはじめとした各種労働条件の改善などについて協議し、柔軟な働き方に関する制度の導入や福利厚生制度の充実などを図っています。また、事業の変更点などの通知については通常、最低1カ月前には行うように努めています。その他にも、定期的に労使共催のイベントや各事業拠点での支部協議会を開催し、会社と従業員双方のコミュニケーションを図っています。これまで築き上げてきた労使との良好な関係のもと、今後も会社の発展と従業員の経済的地位および福祉の向上を図るため、互いに密接な意思疎通を図っていきます。
なお、報酬体系において、当社は法定最低賃金を上回る給与を支払うことを遵守するとともに、同一職系・等級において、ジェンダー間で統一された支給水準を適用しています。